背景と目的

人類の食・日本の食を取り巻く社会課題解決のために

人類や日本の食を取り巻く状況は、今日、以下のような社会課題の顕在化に直面している。社会・経済・環境が多層的に重なり合い展開される食文化環境の課題に対して、個別の分断された立場や専門性だけで解決することは困難であり、あらゆる知恵と行動を集結し、豊かで持続可能な食文化環境を次世代へとつなげるための横断的・集合的な取組とそれを支える「社会的な場」が求められる。

  • 気候変動や社会環境変化の中で、どのように食の持続可能性やレジリエンスを保ち、豊か な食文化環境を実現するか。
  • 新たな技術が食に応用されていく中で、便益とリスクをどう評価・把握し、食の選択をす るか。
  • 農林漁村における文化・環境・社会的機能をどう価値づけし、将来世代に継承していくか。
  • 国際社会の不確実性の中で、日本の食料自給や安全保障をどのように確保していくか。 l 日本の飲食文化(和食)が国際的に注目される中で、その文化的・環境的価値をどのように確立していくか。
  • 生活者の食に対する意識や理解を高め、より適正な行動のもとに持続可能なフードシステムを共創するためにどのような取組が求められるか。

あらゆるセクターを横断する場づくり

食の未来フォーラムは、未来の持続可能な食のあり方を共創する国際的な社会インフラとなることを目指し、研究と社会実装、産官学民の立場、過去・現在・未来、地域や業界から国際社会といった、様々な垣根を超え、社会課題解決に対し包摂的・綜合的につながり、知の集積と社会創造を後押しする社会基盤としての「社会的な場」を設定する。

  • 研究から社会実装までをつなぐ/飲食文化とそれを取り巻く様々な背景環境(食文化環境)を綜合的に捉える上で必要な各種研究分野の知の集積や、実際の社会・経済の中での政策や事業に及ぶ多様な動きをつなげ、学術分野と実社会との相互の効果的な共創基盤を整備する。
  • 産官学民の立場を超えた関わりを構築/様々な立場の関係者が抱える現場と、そこで生成される知見を持ち寄り、つながりや連携を効果に生成することで、課題解決や未来創造へとつなげる。
  • 過去から未来までを網羅する/過去の遺産や知的・文化的資産を把握するとともに、未来社会における課題や展望を見据えつつ、現代における判断や行動の変容、計画策定へと生かすなどの多角的視点や知見、行動を引き出す。
  • 地域・業界から国際社会までを包摂する/日本や世界各地の食文化環境、並びに様々な業界が持つ視点や課題、展望を持ち寄り、共有するとともに、国際社会における、よりマクロで抽象度の高い視点や課題、展望についてなど、様々な階層から包摂的に食を把握し、また各現場へと還元できる場とする。

食環境を多角的に捉え社会実装につなげる「超学際」のフィールドを構築

飲食文化とそれを取り巻く様々な背景環境を多角的観点から捉え、多様な関係者が研究や社会実装、さらに社会変革・創造へとつなげる「超学際」の場の構築を目指す。また、学術を知の探求とともに社会課題解決や社会変革・創造の観点から捉えた学術領域としての「食文化環境学」の創生を目指す。

社会課題解決のための共創基盤の設定

食の未来フォーラムは、社会課題解決に向けた様々な関係者の知と実践を支える共創基盤の設定を担う。今日、農林水産省(「知」の集積と活用の場)や文化庁(食文化振興プラットフォーム)などでも食に関するプラットフォーム整備やその必要性について議論や施策が進められており、これらとの接続性を図りながら産官学民が有益に連携できるよう支援する。

共創基盤である「プラットフォーム」は、「人と知の集積(Action 1)」、「知と情報の共創・発信(Action 2)」、「社会実装の支援基盤の構築と提供(Action 3)」の3つの段階により構成し、それらの段階を網羅する形で事業内容を整備する。

アクション

アクション1  人と知の集積

a. フォーラム〔Future Foodways Forum〕

食文化環境に関連するあらゆる関係者や取組、知と実践が集積し、情報・知の交流を行う「場」としてのフォーラムを開催・運営する。また、それらの情報・知の集積のインフラとしてウェブサイトを運営する。

  • フォーラムの開催
  • ウェブサイトによる情報発信

b. インタビュー〔Future Foodways Frontier〕

これからの食を担う、様々な取組や研究を推進する組織や個人に焦点を当て、それらの思想や活動内容等を顕在化させるためのインタビューを実施する。インタビュー内容は『Future Foodways Frontier-これからの食のあり方をつくる人とコミュニティ』と銘打ち、YouTubeチャンネルやウェブサイトで動画配信を行うほか、デジタルコンテンツとして配信する。

  • YouTubeチャンネルでの配信
  • デジタルコンテンツ化による配信・販売(電子書籍・雑誌等)

アクション2  知と情報の共創・発信

c. ダイアローグ〔Future Foodways Dialogue〕

食文化環境に関連するあらゆる人々とともに、『Future Foodways Dialogue-これからの食のありかたを考える対話集会』と銘打ち、これからの食のあり方に関する対話(ダイアローグ)や議論(ワークショップ)をもとに、共通のグランドビジョンを導き出す合同研修プログラムを企画する。様々な参加者が集い対話(ダイアローグ)を重ねることで、あらゆる食文化環境に関する関係者が、未来のより良い食のあり方に対して、内発的な意思に基づく自発的行動が促されるほか、その中での相互の学習や共創へとつながる場やプロセスが形成される。

  • 合同研修プログラムの企画・運用
  • グランドビジョンの整理と学習・共創のための場作り、ファシリテーション

e. 出版

事業を通じて集積・生成される、食文化環境に関する様々な人・組織やテーマを取り扱う出版物の作成・販売を行う。出版物は、デジタルと印刷物の双方を想定する。

  • 電子出版
  • そのほか書籍出版
  • メールマガジンの発行(会員向け)

d. 講座・セミナー

食文化環境について生活者が学びを深め、楽しみ、貢献できる機会を提供することを目的とした講座・セミナーや教育プログラムの提供を行う。

  • 文化交流講座の実施〔À Table - 美食とお酒の広場〕
  • 企業や学生等に対する教育プログラム・講座・セミナーの提供

アクション3  社会実装の支援基盤の構築と提供

f. 食の文化的景観のマッピング〔Foodscape Map〕

各地に展開されている日本の豊かな飲食文化とそれを取り巻く様々な背景環境について評価し、「食の文化的景観」としてマッピングする取組を、都道府県および市町村と連携して実施する。
マッピングに際しては、GIAHS(世界農業遺産)等に用いる指標を参考にした独自指標をもとに多角的に評価を行い、それらの地域資産の背景ストーリー、価値、現状の取組、課題、可能性等の整理を試みる。それにより各地の飲食文化に必要な資源や支援が明らかになり、補完する方策を講じることで、それらの継承・発展に寄与する素地が生まれるものと期待される。

  • 指標に基づく「食の文化的景観」の評価とデータベース化
  • 各地の飲食文化に関する背景ストーリー、価値、現状の取組、課題、可能性等の整理
  • 継承・発展に必要な支援を提供する際の基礎情報として活用

h. インキュベーション基盤〔FF Bank〕

これからの食文化環境を共創する上で必要な人的・知的・資金的な社会関係資本、情報資本の集積やエコシステムの活性化を促す「社会的な場」の形成をネットワーク面で後押ししながら、必要な機能としての体系的な整備を行う。これらの場や機能は、いわゆるインキュベーションやアクセラレータといった「食文化共創プラットフォーム」としての役割を持つ。
プラットフォームは、グローバルな食の社会課題解決につながる先進的・革新的な分野から、ローカルな食文化環境の保護継承・振興を支援し、飲食文化・産業の文化的・社会的・環境的多様性の保全や食料安全保障につながる社会的取組までを範囲とする。

  • 食文化環境の共創を支援する資源マッチングサービス/プラットフォームの構築
  • 食の文化的景観を支援するクラウドファンディングプラットフォームの整備

g. 調査研究・開発〔Research & Development〕

学術分野や産業分野における様々な調査研究・開発に関する取組の推進や支援を行う。また、地域における飲食文化・産業に関する調査研究、保護継承や振興に関する取組への支援による事例を創出する。これらを進めることで、学術分野における超学際研究領域としての「食文化環境学」の創生を目指す。

  • 学術分野における研究プロジェクトの推進及び支援
  • 産業分野における研究開発プロジェクトの推進及び支援
  • 地域による飲食文化・産業の調査研究・保護継承・振興に資する支援

運営メンバー

運営委員会

顧問

石毛 直道   国立民族学博物館名誉教授
石田 雅芳   立命館大学食マネジメント学部 教授

理事長

佐藤 洋一郎  ふじのくに地球環境史ミュージアム 館長、総合地球環境学研究所 名誉教授

副理事長

伊藤 信博   椙山女学園大学国際コミュニケーション学部 教授
美馬 のゆり  公立はこだて未来大学システム情報科学部 教授

理事

加藤 雅士   名城大学農学部 教授
植田 基康   一般財団法人静岡新食文化共創機構 専務理事
田中 康輔   株式会社パソナ農援隊 代表取締役
熊谷 真菜   一般社団法人日本コナモン協会 会長
大原志麻   静岡大学人文社会科学部教授)
宮田 久司   合同会社久悦 代表社員

監事

細谷 辰之   日本医師会総合政策研究機構 主席研究員

事務局

事務局長

宮田 久司   合同会社久悦 代表社員

企画調整担当

藤田 聖人   株式会社大藤エンジニアリング 代表取締役
田中 良和   社会福祉法人陶都会 事務局長

総務・経理担当

(調整中)

アドバイザリーボード

学術・研究分野

和田 雅昭   公立はこだて未来大学システム情報科学部 教授
角 康之    公立はこだて未来大学システム情報科学部 教授
横濱 竜也   静岡大学人文社会科学部 教授

行政・地域連携分野

(調整中)

民間連携分野

(調整中)

国際連携分野

(調整中)